慢性疲労症候群CFSは特異的検査異常を示す疾患ではありません。このため臨床的、総合的判断で「慢性疲労症候群」と診断します。その診断にあたっては以下の三つの前提を満たす必要があります。
〔前提I〕病歴、身体診察、臨床検査を精確に行い、慢性疲労をきたす基礎疾患を除外できる。
〔前提II〕次の4項目が当てはまる。
- この全身倦怠感は新しく発症したものであり、急激に始まった。(なにかトリガーがあることが多い)
- 十分休養をとっても回復しない。
- 現在行っている仕事や生活習慣のせいではない。
- 日常の生活活動が発症前に比べて50%以下になっている。あるいは疲労感のため、月に数日は社会生活や仕事ができず休んでいる。
〔前提III〕以下の自覚症状と他覚的所見10項目のうち5項目以上を有する
- 労作後疲労感(労作後休んでも24時間以上続く)
- 筋肉痛
- 多発性関節痛(腫脹はない)
- 頭痛
- 咽頭痛
- 睡眠障害(不眠、過眠、睡眠相遅延)
- 思考力・集中力低下
以下の他覚的所見は、医師が少なくとも1か月以上の間隔をおいて2回認めること
- 微熱
- 頚部リンパ節腫脹(明らかに病的腫脹と考えられる場合)
- 筋力低下
この前提I、II、IIIを満たすときに「慢性疲労症候群」と診断されます。なお診察、診断時点で必ずしもCFSの基準に合致しない慢性的疲労には特発性慢性疲労(Idiopathic Chronic Fatigue: ICF)という診断名を設けて区別しています。
これまで長く運用されてきた診断基準(厚生労働省CFS診断基準試案平成7年3月)では自他覚症状、所見に重点がおかれており、基礎疾患の除外や、診断基準を満たさない慢性疲労に対する明確な方針を示しえませんでした。
新しい診断指針では、医師が十分に病歴聴取し身体診察を行い所見を得て、必要な臨床検査を精確に行い、否定すべき慢性疲労をきたす基礎疾患を除外することを第I前提とし、その後に慢性疲労症候群の診断を進める過程を方針として示したものです。